吹きガラスで作る繊細な球体が美しい。アーティスト「照屋光」インタビュー


mizore galleryに作品をご出品いただいている立体アーティストにインタビューをする企画。今回は吹きガラスで繊細な球体作品を制作する「照屋光」さんにお話を伺いました。


照屋光プロフィール

2016年 愛知教育大学 現代学芸課程
     造形文化コース ガラス専攻 卒業
2019年 地元で事務職を経た後 軽井沢ガラス工房勤務


事務職からアーティストへ。制作への心残りから挑戦

 

■アーティストを目指すきっかけはなんでしたか?


子供の頃から絵を描くのが好きで、小さな頃は漠然と将来は画家になりたいという気持ちがありました。画家である叔母の絵が家に飾ってあり、絵を描いて生きるという憧れがありました。美大や芸大に行きたかったのですが、親に反対されたため、実際には教員免許が取れる教育大学を選んだ、と言って最終的にはその大学にあったガラス工芸を勉強しました。ですが自分に自信が無かったため、卒業後はアーティスト等ではなく、何になろうでも無く、流れるように就いた事務の仕事をして、何かをしたいけどどうしたら良いか分からないという思いで生きていました。大学で作った作品で満足したつもりでしたが、物足りない思いが日に日に募っていました。


ガラス工房に就職する直前にアーティストを目指すきっかけとなる出来事が2つあり、1つは私のすごく仲の良い双子の姉が、結婚することになったことです。姉が変化して人生を進んでいるのに、自分はずっとこのままでいいのか、作品制作がしたいという思いを考えない様にしながら、ずっとダラダラしていることに「置いていかれている」という気持ちになり、寂しさと同時に焦りを感じました。

2つ目は、親しい人がお金に困っている時に助けられなかったという出来事です。その時の自分には金銭的に助けられませんでしたが、アートなら今後自分の頑張りで稼ぎが増やせるのではないかと安直に思い、ガラス工房に就職して自分の作品を作って売れるようになろうと思ったのでした。


でもこの2つはきっかけであって、アーティストになりたいと思ったのは自分で自分の作品の続きが見たかったのが1番の理由でした



作品モチーフのきっかけは微生物!?

■今の作風に至るきっかけはなんですか?

吹きガラスの中にガラスの玉がある作品には2つきっかけがあって、1つは大学の授業で与えられた自由に作品を制作してくださいという課題について考えていた時、たまたまテレビに微生物の「ボルボックス」が映って、子供の頃理科の資料集で見たこの微生物が好きだったことを思い出し、ボルボックス風の作品を作ったのが1つ目です。

ボルボックス(出典

 

一度作ったきり、それからしばらく同じものは作らなかったのですが、後にガラスの器を作ろうとした際、ガラスを膨らませた時に中でくっついたガラスがビヨーンと伸びて失敗した様がとても面白く感じ、以前作ったボルボッスの中にガラスの玉を入れるという工程が頭の中で繋がって、中に玉を入れて吹いたら面白いのではないかと思い、色々な形を作ってみたのが2つ目のきっかけで、この作品の始まりです。

 



■制作で1番テンションが上がる瞬間はいつですか?

ガラスの球体の中に入れたガラスの玉にさらに空気を入れて膨らませ、中のガラスがビヨーンと伸びる瞬間に一番テンションが上がります。吹いた玉の形は100%のコントロールはできませんが、偶発的にできる形も魅力の一つです。




■自分の作品の「特にこだわり!」というポイントはどこですか?

ガラスの球体の中にあるガラスの玉の存在感です。例えば、中のガラスの玉を膨らませる時に、やり方によっては玉の原型がなくなってネバネバになってしまうこともあるのですが、そういう時は自分の中で失敗したなと思います。

また、外側のガラスは球体や卵型のようなツルッとしたシンプルな造形をイメージして作っているのですが、制作途中ではボコボコした感じで膨らんでいくので、その辺りをできるだけツルッとさせて、外側の造形をあまり派手にせず、中に入っている玉に目がいくようにすることを意識しています。

 

 

■立体作品の魅力はなんだと思いますか?

存在感です。多くの場合絵画には額縁があり、覗き窓のようにその中に絵の世界があると思うのですが、立体作品は自分と同じ空間、自分の生きている世界に物があるので、絵画のように切り離された感じがせず、存在が近いことが魅力です。


吹きガラスの魅力は「ガラス作品を作っている時の感覚」

 

■特に吹きガラスを制作する魅力はなんですか?

大学の時は、吹きガラス以外にキャストガラスなども習ったのですが、吹きガラスは道具を使ってリアルタイムに柔らかいガラスの形を直に変化させていくので、ガラスと接しているという感覚が特にあります。

私の感覚ですと、型があるものだと、先にモチーフのオブジェを作ってから型を作るので、例えばガラスの鳥を作ったとしても「ガラス作品を作ったというより、鳥のオブジェをガラスで作った」という風に、ガラスよりモチーフのイメージが先行してしまう気がします。そういう点でも、吹きガラスは柔らかいのにすぐ固まるガラスという不思議な素材を触っているという感覚が強くて、魅力的です。

 

■作家としての今後の目標はなんですか?

まだ駆け出し作家なので、工芸のコンペで賞を取ったり、個展を開いてみたいです。今の制作環境は勤め先の工房をお休みの日に借りているので、ゆくゆくは自分の工房を持ちたいとも思います。また、海外の方にも作品を見ていただきたいです。

 

 



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